観光体験

普代から三陸へ。三陸鉄道で行く鉄道の旅

深山の雰囲気と潮の香りが同居するローカル鉄道。
時代ロマンあふれるレトロ列車も運行されます。

三陸沿岸を南北に結ぶ三陸鉄道。昭和59年、全国初の第3セクター方式の鉄道として誕生した鉄道で、久慈〜宮古間を結ぶ北部区間を北リアス線、釜石~盛間を結ぶ南部区間を南リアス線と呼んでいます。普代駅があるのは北部の北リアス線。今回のレポートでは、普代駅から久慈駅方面へ向かう列車に乗って、その車窓や鉄道の旅の気分をチョッピリ楽しむこととしました。

普代駅

普代駅
 昭和59年4月1日、全国初の第三セクター方式の鉄道として開業した三陸鉄道・普代駅

普代駅時刻表

普代駅時刻表
 列車は1時簡にほぼ一本の割合で運行される
<時刻表>

列車の発車時間にまだ間があるので、普代駅に併設されているお店を訪ねてみました。まず訪ねたのが食品、雑貨類を扱う深渡商店。普代村のお土産なども売っていますが、この店の看板商品といえば、ズバリ「おでん」。ストーブの上の大なべの中に、串刺しのおでん種がギッシリ。クツクツとゆっくり時間をかけて煮込むゆえ、色は濃いが味は抜群。味がしっかり浸みています。大根、チクワ、コンヤク、厚揚げなどいろいろありますが、一本50円。30年以上も昔からの定番で、普代駅を利用する地元の人たちにはお馴染みの味なのです。

深渡商店のおでん

深渡商店のおでん
普代駅には売店、味処が併設されている。その中の一軒、深渡商店の名物がこのおでん。普代駅を利用する学生さん御用達で、ちくわ、玉子、こんにゃく、魚肉ソーセージなどどれでも一串50円。営業時間は7:00~18:00 無休

 普代駅の売店

普代駅の売店
 駅の改札口隣りにある売店。営業時間は8:00~17:00頃 無休

売店に並ぶ普代のお菓子

売店に並ぶ普代のお菓子
 普代ならではの味として親しまれているどこかお菓子も並ぶ。いずれも町内の製菓店謹製

普代駅にはアンテナショップ「あいで」もあります。いわゆるキヨスクスタイルの売店ですが、ここで目を引くのが普代村のお菓子。菓子とケーキの老舗として親しまれている村内の三船製菓のかりんとうや味噌パン、白ゴマとすき昆布がたっぷり入ったこんぶかりんとうなど、懐かしい味がそろいます。
すき昆布、鉄山染め商品等もおいてます。ぜひ立ち寄って普代の特産品を堪能してください。

さて、ホームに2両編成のディーゼルカーが入ってきました。車内は4人掛けのBOX席スタイル。もちろん窓が開くので潮騒を身近に感じながらの旅に期待感が高まります。乗務員は運転手のみのワンマンカー。無人駅では料金後払い式のワンマンバスのように、乗車時に整理券を取り、降車時に料金箱に運賃を支払うスタイルです。

「グァンワンワン・・」と、ひときわ高いエンジン音を響かせながら列車は普代駅を出発。普代の町並みを臨みながら普代川を渡ると、あっという間に車窓は深山の趣きに。気がついたらトンネルの中。で、トンネルを抜けたと思ったらまたトンネル。海岸がすぐ近いというのにせっかくの海岸美を楽しむことができません。普代駅から5分ほどで列車は次の駅に到着。駅名は「白井海岸」。ホームとトンネルの出口が同居する無人駅で、海岸と銘打ちながら海の姿は皆無。周りの風景は、緑濃い山中のど真ん中という感じです。

トンネルが連続する北リアス線

トンネルが連続する北リアス線
 普代駅から下り線に乗り久慈駅方面へ。普代〜堀内間はトンネルが連続する

白井海岸駅

白井海岸駅
 駅名は海岸駅なのになぜか山のど真ん中。海岸へは駅から徒歩5分ほど

白井海岸駅出発と同時に再びトンネル。これがまた全長約2kmもある長いトンネルです。しかも、やっと出たと思ったらまたすぐトンネル。結局、普代から掘内までわずか10kmほどの区間にトンネルが8箇所もありました。

堀内駅ホームからの眺め

堀内駅ホームからの眺め
 高にある堀内駅構内からは、野田・久慈方面へと続く海岸線を一望することができる

まついそ公園

まついそ公園
トンネルが連続する白井海岸駅と堀内駅区間の車窓から一瞬見える「まついそ公園」

大沢橋梁

大沢橋梁
 三陸鉄道北リアス線のポスターにも登場する大沢橋梁。三陸鉄道では外観・内装もオシャレなレトロ列車も定期運行されている

それでも、普代村3つ目となる堀内駅が近づくにつれ海の存在を、なんとなく感じるように。トンネルとトンネルの間のわずかな区間から、まついそ公園の姿を見ることができました。さらに、ポスターでもお馴染みの大沢橋梁にさしかかると、列車は徐行。スピーカーからは名所案内のガイドが流れてきます。ここまでくると堀内駅はもうすぐ。国道45号を上に、下には太平洋を一望する景観に優れた駅で、ホームからは太平洋とともに生活している地域の人たちの暮らしぶりをも垣間見ることができるはずです。この先、安家川にかかる大きな橋を渡るとお隣の野田村へ。この先、陸中野田駅までは、進行方向右手に太平洋の姿を見ることができます。

さて、三陸鉄道には、通常スタイルのディーゼルカーのほか、通称「レトロ列車」と呼ばれるオシャレな列車も走っています。内装は時代性を考慮した古風なシャンデリアと壁面から下がったスズラン灯、中央通路に敷かれたジュータンなどでレトロな雰囲気を演出。現在、宮古・久慈間をサーモン号として1日1往復しています。料金は通常列車と同料金。今年初春には新型レトロ列車も導入され、ますますその魅力がアップ。ちょっと豪華でファンタジック。特にあたりが緑に染まる春から盛夏は、その魅力が最も発揮される時期。子供から大人まで家族みんなで楽しむことができます。